エクアドルのアンデス旅行情報
エクアドルアンデスは国土の北から南まで縦断する標高2000メートル以上のエリアに多様性に富んだ文化と自然、民族が混在する見どころ満載の地域です。
北から、南米最大のインディヘナマーケットのある「オタバロ」、400種の野鳥が見られる「ミンド」、世界遺産第一号の「キト旧市街」、標高3,300mのアンデス温泉「パパジャクタ」、魅力的なアドベンチャーツアーを行える「バーニョス」、もう一つの世界遺産「クエンカ」そして4峰の5000メートル超級の山があります。
キトの旧市街は1978年に人類の歴史上重要な文化を例証する建築様式、 さらに景観の優れた町並みという理由から、世界で初めてユネスコにより世界文化遺産に登録されました。外観を変えてはならないという世界遺産基準に準拠し、コロニアル時代に建てられた建築物を保全しながらいまも当時と変わらず人々が暮らしています。
スペインによるインカ帝国征服後に、インカの神殿があった場所に真っ先に建立されたと伝えられています。
1987年の大地震により大部分が崩壊し、建てられた当初の3分の1のみ修復されましたが、いまだ教会の中に7つの中庭があるほどの規模を誇るキト旧市街最大の宗教施設です。大聖堂のほか、博物館、3つの中庭は観光客でも入ることができ、教会の前の広場では休日のたびに様々なイベントが行われています。
1830年8月10日のキトの独立を記念して建てられた碑が中央に建っていて、広場の南にはカテドラル、西には大統領府、北には大司教の住んでいた宮殿(今はホテルとレストラン・ショッピングエリアになっています)、東には市庁舎が建てられ四方を街の重要な建築物で囲まれています。
広場の中央に建てられた碑は、イタリアから寄贈されたもので、頂上には自由の女神が奉られ、土台にはスペインを象徴するライオンが脇腹に一矢を受け、スペイン国旗を踏みながら撤退する様がモチーフの銅像が建てられています。石碑の周りでは老人が日向ぼっこをしながら靴磨きの少年に靴を磨いてもらっていたり、色鮮やかなピエロによる大道芸や信心深い人々による宣教活動が行われていたりして、穏やかな時間の中で南米を感じられる独特な空間が楽しめます。写真を撮るのがお好きな人なら、きっとずっといても飽きないでしょう。
1605年にイエズス会により建築が開始され、完成したのは160年後の1765年というからどれだけこの教会がすごいかがわかるでしょう。最も目を引くのはファサードの彫刻です。ガイドブックでは単にバロック調の建築様式と表現されますが、この教会の土台はイスラム系モロッコ人が支配していた時代に築かれたため、イスラム建築の影響が強く残されています。しかし、160年の間にスペインの支配が変わり上部はバロック調に変更されながらも建設が引き継がれたため、様式がミックスされた興味深い教会です。建物の中はいたるところに金箔が施され、まばゆいばかりの金色に輝いています。キト旧市街の教会としては小さい部類に入りますが、その微細な彫刻と贅沢な金箔づくりの豪華さから、観光客はもとより地元の信者たちからの人気も高く、訪れる人の最も多い教会の一つです。
1883年、キトのシンボルとしてフランス人建築家によって設計されバチカン直属の宗教施設として建設がスタートしました。アメリカ大陸最大のネオゴシック調の教会です。バシリカ教会を境に南が旧市街、北が新市街となり、キト旧市街の世界遺産はこの教会を含まずに登録されています。旧市街のどこから見ても一目瞭然なこの教会は、聖堂の奥行き140m、幅35m、高さ30mにも達します。そして2つの塔は115mあり、キトの街のシンボルにふさわしい威容をたたえています。
通常の教会であれば神話的動物であるガーゴイルがファサードに飾られ一種の魔除けの役割をするのがネオゴシック調の特徴の一つなのですが、このバシリカでは、ガラパゴス諸島・アンデス・海岸地域・アマゾンジャングルとエクアドルの4つの地域の動物がガーゴイルの代わりに飾られているのが大きな個性となっています。
この建物が完成したときに国が滅びるという言い伝えがあり、130年経った現在でも建築途中という状態です。
キト旧市街の南に位置する丸いパンのような形をした高さ130メートルほどの丘です。
旧市街とキトの南の町の境にあるこの丘の頂上には、旧市街を見下ろすように羽の生えた聖母マリア像が建っています。
この像は7400のアルミパーツから成り、1976年にスペインのバルセロナからグアヤキル経由でキトへが運ばれてきました。パネシージョのバージンとしてキトの町のシンボルとなっています。像は新約聖書最後の書であるヨハネの黙示録に登場するバージン・マリアがモチーフになっています。背中には翼を持ち、左手に持った鎖の先に絡められた蛇は足で踏んづけられています。
蛇はキリスト教では悪の使いとされるのですが、インカ帝国では神の使いの動物とされていたため、歴史的なダブルミーニングが込められていると言われています。
この丘には概して低所得者が居住しており、マリア像のある頂上は安全ですが、途中の階段ではナタ強盗などが多く現れるため、観光客は徒歩でこの丘を昇り降りしてはいけません。
2000年の映画「プルーフ・オブ・ライフ」のラストシーンではこの丘が空撮され、南米の印象的なシーンの一つとなっています。
キト市内から北に約22km離れた緯度に赤道が通っています。
赤道には、1972年から1982年の10年をかけて建てられた記念碑が建てられています。記念碑の頂点には5トンの石の地球儀が置かれ、4.5mの広さの展望台があり、そこからキト郊外の美しい盆地を一望できます。この赤道記念碑は1743年にチャールズ・マリエ・デ・ラ・コンダミネ率いるフランス科学アカデミー一行がエクアドルに地球の正確な形を調べるためにやってきた際に発見されたとされる緯度に建てられています。
しかし、近年GPSで測ったところ実際の赤道とは240mほど南にずれていたことがわかりました。
250年以上も前の測量技術としては誤差240mは良い方と考えられますが、皮肉なことにそれよりもさらに200年程遡ったインカ帝国時代の太陽神殿が、より正確な赤道の緯度に建てられていたと言われています。
そして、この赤道記念碑より北に240メートル離れた正確な赤道の緯度には、現在太陽の博物館(Museo Intinan)が建てられています。ここでは150年前以上の民家を改築した屋外型博物館として、昔の人々の暮らしがどのようなものであったか、地域の人々の暮らしの違い等を細かく見ることができます。また、赤道直下ならではの実験として釘の上に卵を立てたり、赤道上での水の回り方、などを体験できるユニークなツアーが人気です。
ミンドはキトから北西に80km離れた車で1時間半の距離にあるキト市民の避寒地です。太平洋から続くアンデス山脈への途上にあり、標高は1600mほどで気温は通年25度前後と過ごしやすい地域です。ミンドの町は谷底にあり、周囲の常に雲で覆われている深い森に囲まれています。この周囲は雲霧林つまりクラウドフォレスト(Cloud Forest)と呼ばれる気候となり、水分が豊富で栄養に富んだフルーツを多く育むその森はアンデスの鳥達にはお気に入りの場所です。400種類に及ぶカラフルな珍しい鳥達をここで見ることができます。鮮やかな色の冠羽を持つアンデスイワドリをはじめ、世界一美しい鳥とされるケツァール、数十種類に及ぶハチドリやオオハシ等です。
また、バードウォッチングだけではなく、色彩豊かな蝶を観察したり、奇妙な形をした蘭を眺めたり、激流をタイヤで下ったり、森の中に張られたワイヤーを滑降するジップラインなどのアクティビティも人気です。
キトから約3時間半南西に車を進めると、なだらかな登り坂が続き、緑が一面に広がるアンデスの風景がなんとも眠気を誘います。うとうとしていると、やがてキロトアと呼ばれるクレーターのある標高3914メートルの国立公園に到着します。クレーターの淵から湖までの標高差は約800メートルあり、湖の最大深度は250メートルあります。
ここでのアクティビティはこのクレーターの淵から湖までのトレッキングです。下りは45分程度でさくさくと降りることができます。湖ではボートにも乗ることができ、周囲と隔絶されたクレーター底からの絶景を楽しむことができます。登りは標高差の大きさから休み休み歩いて2時間はかかります。歩くのが苦手な方は馬とロバの合いの子「ミュール」を10ドル程度レンタルし、ミュールの背中に乗って登ることもできます。当然オンリーワンのスタッフはミュールを使います。
買い物するなら絶対ここ!
オタバロはキトから車で北へ2時間ほど離れた場所にある人口9万人の街です。
オタバロは昔から織物産業が栄え、スペイン統治時代にもその技術が認められ、世界各国に輸出をしていました。現在では南米最大規模と言われる市が毎週土曜日に開かれ、地元民はもとより多くの観光客も訪れるエクアドル有数の観光地となっています。ここで売られる織物製品の中にはハイセンスで高品質のものが多いため、専門バイヤーの方以外でも掘り出し物に出会うことができお買い物を存分に楽しむことができます。
また織物だけではなく、オタバロは音楽でも高い評価を得ています。ここでは様々なアンデスの楽器が作られているので、実際に音楽工房に行って楽器を作っているところを見学し、生演奏を楽しんだ後に楽器を購入、弾き方を習って帰ることもできます。
標高6,310メートル。地球の中心から最も離れた頂
地球は真球ではなく、赤道から極に向かってなだらかな楕円形をなしています。地球の中心からの距離を測ると赤道周辺が最も離れているため、赤道周辺で最も高いチンボラソの頂上はエベレストの頂上よりも2.1キロメートル程地球の中心からの距離があるそうです。19世紀初頭まではこの山が地球で最も高い山だと考えられていました。
チンボラソへはキトから南に150キロメートル、車で約3時間半かかります。最初に登頂したイギリス人のエドワード・ウィンパーにちなみウィンパーと名付けられた山小屋までは車でアクセスできるため、1泊2日で登頂アタックができます。しかしコトパクシと比べても難易度の高い登山となり、かなりの雪山登山経験が必要となります。過去、日本からのお客様でアタックして登頂成功した件数は全体の20%程度に留まり、成功率は決して高くありません。
南米の富士山はスケールが違います。
キトから車で南に1時間半ほど、コトパクシ山はエクアドルで2番目に高い標高5897メートルの成層火山です。その姿から日本人には馴染みの深い富士山を思い起こさせますが、富士山とは規模が違います。車で4500m地点の登山口まで行くことができ、5000メートル地点まで登ると氷河が堆積しています。
そのアクセスの良さから、キトからのデイツアーや2日間の本格登山ツアーが人気です。
デイツアーでは5000メートルの氷河地点までのトレッキングを含め、4000メートル地点からマウンテンバイクでダウンヒルしたりとライトアドベンチャーが楽しめます。2日間かけて登山をする際は、事前の十分な高度順応や防寒装備が必要です。比較的登頂率の高い山ですが、過去の日本からのお客様の成功率は50%程です。
スペイン・コロニアル都市として発展し、1999年には世界遺産にも登録された美しい街。
グアヤキル、キトに次ぐエクアドル第三の都市クエンカには、約50万人が暮らしています。キトから南東に432キロメートル離れていて、グアヤキルからは191キロメートルの距離にあります。標高は2550メートル、年間を通して春のような気候がとても穏やかなとても住みやすい街です。
1557年4月12日にスペインの探検家によって建設された街は、500年経った今でも建設当時の町並みが保存されています。それがユネスコにより評価され、1999年に世界文化遺産に登録されました。街の規模は小さく1日でまわれるキトの旧市街のような風情ですが、クエンカの人々は商売上手で有名です。数ある産業の中でも特にパナマ帽の製造が盛んで、エクアドル原産のパナマ帽のほとんどがここクエンカから出荷されています。
また陶器でも有名であり、素朴な味わいのあるクエンカ焼きは世界各国のコレクターからの注目も集めています。
クエンカから北西に33kmの場所に位置し、28,500ヘクタールの広大な土地に232の大小様々な湖が存在します。ここに溜まった水はそのまま川となり、クエンカや周辺の地域の重要な生活水となります。標高は3200から4450メートルの間の高山地域で、鹿や山羊、熊、ピューマ、バクと言った動物や蘭、シダ、苔類の宝庫となっています。
またこの地域ではコンドル、オオハシ、ハヤブサ、ハチドリと言ったアンデスの代表的な鳥を観察することができます。ハイキングやバードウォッチングを楽しんだり、アクティビティの豊富なエル・カハス国立公園はオンリーワンのおすすめです。
そこは自然とアドベンチャーの宝庫
キトから南へ3時間の距離にある温泉町バーニョスは、エクアドルでも1,2位を争う人気の観光地です。周りが山に囲まれた谷底の町で、マウンテンバイクやラフティング、乗馬、バンジージャンプ、キャニオニングと言ったアドベンチャースポーツを体験することができます。バーニョスでの一番の目玉はパイロン・デ・ディアブロ(Pailon de Diablo)悪魔の滝壺と呼ばれる滝見物です。轟々と流れる滝の間近まで近づき、その迫力を体験できます。そしてロープウェイに乗り、ロープウェイからは滝を見下ろしたり、アンデスの風景を一望したりできます。
1日体を動かした後には素敵なアシエンダに泊まって温泉を楽しむこともできます。