はじめまして、海外農業コンサルタントの宮﨑大輔(@JIBURl)です。
旅行会社オンリーワントラベルさんの国際協力事業の一環として、2015年10月5日から11月21日までの47日間南米ベネズエラのギアナ高地に住む少数民族ペモン族の村で暮らし、彼らの伝統的な生活を体験しながら農業指導を行いました。
今だから告白できますが、めっちゃ辛かった(泣)
そして農業指導が終わってからは、ギアナ高地にある世界最高落差の滝エンジェルホールが流れる最大級のテーブルマウンテン「アウヤンテプイ」のトレッキングツアーにも参加し、5日間かけてアウヤンテプイを往復してきました。
これも、めっちゃくちゃ辛かった(笑)
ペモン族の村に滞在した間にはイモムシ料理を食べたり、川で伝統的な毒流し漁をしたり、焚き火を囲みながらふんどし姿で踊ったり、ウルルン滞在記のような経験を積むことができました。
アウヤンテプイのトレッキングツアーは、まだ日本人はほとんど誰も挑戦したことがない挑戦だったので、予想外の問題も発生し過酷な体験でしたが、テーブルマウンテンの頂上の景色は一生忘れない思い出になっています。
垂直な崖を1本のロープだけを頼りに登っていくのは怖いし大変でしたが、ただエンジェルホールを眺めるだけとは違う素晴らしい経験になりました。
これからもオンリーワントラベルさんの国際協力事業は続きますし、オンリーワントラベルさんに手配をお願いすればテーブルマウンテンのトレッキングツアーにも参加できます。
そこで今回は、私が少数民族の村に47日間滞在し経験したことすべてを、オンリーワントラベルブログを読んでいるみなさんへご紹介したいと思います。
海外農業コンサルタント「宮﨑大輔」の自己紹介
このブログをいつも読んでいる方は、いきなりオンリーワントラベルの社員ではない私が現れて驚きましたよね?
ペモン族体験記の紹介をする前に、少し自己紹介をさせてください。
私の実家は長野県のリンゴ農家で、学生時代は信州大学大学院農学研究科で野菜栽培の研究室に所属し、主にイチゴの品種改良と全国の農家に対して栽培方法の指導を行っていました。
大学院の修士課程修了後には「農業を生かして、海外で働きたい!」と考え、独立行政法人国際協力機構JICAのボランティア制度である「青年海外協力隊」に参加しました。
新卒で協力隊になるのは、なかなか珍しいことなんですよ。
2013年7月から2015年6月までの2年間、青年海外協力隊として中米パナマ共和国に派遣され、電気も水道もない村で野菜の育て方を教えていました。
そして、パナマに住んでいるときにオンリーワントラベル代表の山田陽介さんと知り合い、今回のベネズエラのプロジェクトに繋がります。
人の縁とは、不思議なものですね。
青年海外協力隊の任期が終了した後は、「フリーの海外農業コンサルタント」として開発途上国で働いています。
JIBURi.comというブログを使って、青年海外協力隊や途上国の情報を発信しているので、興味がある人はご覧ください。
南米ベネズエラのギアナ高地に暮らす少数民族ペモン族とは?
そろそろ、ベネズエラの話に入っていきましょう。
みなさんはベネズエラのことをどれくらい知っていますか?
日本人が抱くベネズエラのイメージは、こんな感じでしょうか。
01. ベネズエラは治安が悪い
「ベネズエラの首都カラカスは世界一治安が悪い」と言われていたので、危険な国というイメージを抱いている人が多いと思います。
実際に外国人旅行者をターゲットにした拳銃強盗が発生しており、治安が悪いことは間違いありません。
そのため、ベネズエラを旅行する際には個人旅行ではなく、旅行会社のツアーに参加することを強くお勧めします!
02. ベネズエラは美女が多い
ベネズエラは「世界で最もミスユニバースの優勝者を輩出している国」としても有名で、世界一美女が多い国とも言われています。
街を歩いていると美人でモデル体型の女性が確かに多く、「ベネズエラでは、道端でファッションショーを開催しているのか!?」と驚いたほどです(笑)
もちろん、美女だけでなくイケメンも多いので、女性も楽しいこと間違いなし!
03. ベネズエラには世界最高落差の滝エンジェルホールがある
ベネズエラの観光地として最も有名なのが、ギアナ高地にあるテーブルマウンテンから流れる世界最高落差の滝エンジェルホール。
およそ1キロもあるその落差から流れ落ちる滝は、空気中で水蒸気に分散されてしまうので、なんと「滝つぼ」がありません!
日本のテレビ番組でも紹介されているので、「死ぬ前に一度はエンジェルホールを観てみたい!」と憧れている人もいるでしょう。
旅行会社オンリーワントラベルの国際協力事業とは?
「なぜ、旅行会社オンリーワントラベルが国際協力事業を始めたの?」と不思議に感じている人もいると思いますので、私から説明しましょう。
日本人の「エンジェルホールを観たい!」という要望にお応えして旅行会社オンリーワントラベルさんは、ベネズエラのエンジェルホールツアーを開催してきました。
たくさんの日本人観光客をギアナ高地に案内しているうちに、次第にギアナ高地があるカナイマ国立公園で起きている様々な問題を知ることになります。
エンジェルフォールやテーブルマウンテンのロライマ山で知られる世界最後の秘境ベネズエラのカナイマ国立公園。
実は、ここ数年、この辺りでの違法採掘による深刻な自然破壊が特に問題視されています。
今月に入り、カナイマの地に住む先住民族であるペモン族の人々が、ついに自然破壊に対して何ら対処しない(むしろ違法採掘の片棒を担いでいるとみなされている)政府に対し、抗議運動を行いました。
そして、旅行会社オンリーワントラベルさんは旅行業だけでなく、現地の住民を支援するために「国際協力事業」もスタートさせました。
しかし、社内には国際協力の経験がある人はほとんどいません、ヤバいどうしよう……
そこで、青年海外協力隊として中米で2年間国際協力に従事してきた私に白羽の矢が立ち、オンリーワントラベルさんの国際協力事業へ協力することになりました。
これで私の経歴とプロジェクトの説明は以上ですが、ベネズエラプロジェクトが始まった経緯を理解して頂けましたか?
では、そろそろ少数民族ペモン族の村での暮らしについて紹介していきます!
47日間ペモン族の村で暮らすウルルン滞在記!
私がベネズエラへ降り立ったのは、2015年9月24日。
そこから10日間ほどは首都のカラカスで現地のコーディネーターとプロジェクトについての打ち合わせを重ね、オンリーワントラベルのイケメンガイド本庄遼馬さんとも合流し、10月5日からギアナ高地があるカナイマ国立公園へ入りました。
小型のセスナ機が着陸した飛行場は滑走路が草原だったので、最初の印象は「何もないにもほどがある!!」でした(笑)
01. ペモン族の伝統的な暮らしを体験
本庄さんと私は、少数民族ペモン族が暮らす「カバック」というテーブルマウンテンの麓にある集落で生活を始めます。
というのも、カバックは観光客向けのロッジが3軒集まってできた集落で、そのうちの1軒のオーナーが「野菜の育て方を学びたい!」と希望していたからです。
この集落では発電機のおかげで電気は一日2時間程度使え、飲み水は川の水をゴクゴク飲んでいました。
実はカバック周辺はペモン族自治区のためペモン族以外が住むことを禁止されているので、今回は地域のリーダーから特別な許可を頂き滞在しました。
国際協力が良い結果を生み出すためには、まずは村人の状況と考えを理解することが重要なので、生活を共にし彼らの文化や習慣を学ぶことを心がけました。
例えば、川で行われる伝統的な「毒流し漁」に参加して、川魚を捕まえてみる。
伝統的なイモムシ料理を食べてみる。
激辛トウガラシとアリの調味料を食べてみる。
伝統的なふんどし姿で踊りを踊ってみる。
ちなみにこのふんどしは村の滞在最終日に、一緒に仕事をしていたペモン族の相棒(国際協力の世界ではカウンターパートという)からプレゼントしてもらったもので、大切な宝物なので今でもたまに履いています。
このようにとにかく彼らの伝統的な文化や習慣を学び、彼らに適した農業技術を把握するように務めました。
一緒に生活をすることが人間関係を築くうえで大切になります。
お互いに信頼し合える関係が作れないと、国際支援はうまくいかないからです。
02. ペモン族に対して農業指導を行う
生活だけでなく、ペモン族の伝統的な農法も学びました。
彼らは焼畑農業を今でも続けており、森林の再生に時間がかかることが問題になっていました。
そこで集落の近くの草むらを開墾し、野菜畑を作ることにしました。
一日中草むしりと石運びをして、これがめちゃくちゃ辛かった(泣)
全身が筋肉痛になり、体が痛すぎて夜中に何回も目が覚めたほどです。
開墾が完了してからは、焼畑農業とこれから教える農法の違いやメリットを説明し、彼らの意欲を高めました。
そして、4日間の農業講習会を開催。
子供も参加してくれました、かわいくて癒されました。
カナイマ国立公園で手に入る材料で作る有機肥料の作り方、種の播き方、苗の植え方、肥料の使い方、畝の作り方、水やりの仕方、間引きの仕方など、すべてを教えていきました。
その結果、完成したのがこちらの野菜畑。
雨が降る量が多いため石を使って畝を作り、土や肥料が流れてしまうのを防いでいます。
以前この場所では5種類の作物130株を栽培しているだけでしたが、指導後には23種類928株の作物を栽培するようになりました。
さらに、村人だけで新しい畝を作るようになり、野菜栽培に主体的に取り組んでいます。
収穫できた野菜を使ったサラダ。
オーナーは野菜料理が上手なので、収穫した野菜をきちんと生かしてくれそうです。
こちらが一緒に活動したペモン族のみんなと、ペモン族並みに日焼けした本庄さん。
ペモン族の集落を離れた今でも、オーナーからはその後の生育状況や収穫した作物の写真がFacebookメッセージで送られてきます。
少数民族にとっても、Facebookは欠かせないインフラなんですね。
03. 支援だけでなく「国際交流」もふんだんに経験
ペモン族の村に滞在している間には、農業支援だけでなく国際交流もしていました。
というかこっちがメインくらいの勢いで、子供たちと一緒に遊んでいました(笑)
例えば、日本から将棋盤を持ち込み、子供に将棋を教えました。
大人には日本の写真や動画を紹介しました。
初めてみる日本の生活にみんな興味津々で、「日本語を覚えたい!」というので日本語教室も2回開催しました。
お返しにとペモン語教室を開いていもらいみっちりとペモン語を教えてもらったので、おそらく私たちは日本で最もペモン語に詳しい人間です。
「マクベロ? ウジェセイモ、ダイスケ。カチーリ、アレンバイダイ。セーネンセー」くらいならペモン語を喋れます。
日本の料理も教えました。
玉子焼き、オムライス、大学芋、おやきを教え、一番人気は玉子焼きでした。
「玉子焼きにはハムとチーズをいれた方が美味しいと思うんだけど、それじゃあ日本の食文化に失礼かな?」とオーナーから聞かれたのが印象的でした。
子供たちからペモン族の遊びも教えてもらいました。
こちらは目隠し遊びをされている本庄さんです。
本庄さんも私もサッカーが好きなので、子供たちとサッカー対決もしました。
「ペモン族代表 vs 日本代表」の試合は毎回白熱しましたね~。
私は折り紙を折るのが趣味なので子供たちにパタパタと羽ばたく鶴をプレゼントしていたのですが、それを知った近くの村の幼稚園の先生から「ぜひ、幼稚園で折り紙教室を開いてほしい!」と頼まれたので、折り紙教室を開催しました。
30名ほどの幼稚園児に折り紙を教えるのは発狂しそうなくらい難しい任務でしたが、本庄さんや先生の助けがあり、なんとか楽しく教えることができました。
このようにペモン族の子供や大人と一緒に遊んだり、言語を教え合ったりして国際協力を楽しみました。
子供と遊んでいるといつしか農業の疲れも吹っ飛びました、やっぱりいいもんですね~
04. エンジェルホールが流れるテーブルマウンテン「アウヤン・テプイ」への往復5日間のトレッキングツアーに参加
農業指導が終わった後に、アウヤンテプイ・トレッキングに参加することになりました。
アウヤンテプイとはエンジェルホールが流れるテーブルマウンテンのことで、最大級のテーブルマウンテンです。
一般的なエンジェルホールツアーは、ボートに乗って日帰りか一泊二日で滝の近くまで行くのですが、今回のツアーは「歩きで4泊5日でアウヤンテプイに登って、エンジェルホールを見ずに帰ってくる」という超過酷な内容でした。
よほどMな人でもない限り参加しないでしょうが、本庄さんも私もドMだったので挑戦しました(笑)
どうも、ドMの宮﨑です。
後ろに見えている巨大な山が、アウヤンテプイ(標高2,560m)です。
今、私が立っている地点からこの指の先の地点まで歩き、そして帰ってきます。
往復5日間、巨大なバックパックを担ぎ、すべてテント泊。
過酷なトレッキングツアーが始まりました……
トレッキングツアーでは登山道と呼べるような道はなく、5日間一日中、道なき道を分け入って進みます。
フルサイズの一眼レフカメラ、交換レンズ3本、Gopro、タブレットなどを持って行ったのですが、重すぎてマジで後悔しました。
アウヤンテプイトレッキングに挑戦する人は、スマホだけ持って行きましょう!
また、私たちは雨季に登ったので雨に降られてびしょ濡れになりながらの登山でした、乾季に登ることをお薦めします。
急斜面を這いつくばって進むことも多く、本当にしんどかったのですが、手つかずの大自然に心は癒されました。
オウムが空を飛んでいたり、バクの足跡を見つけたり、ギアナ高地の大自然を堪能しました。
ただし、この絶壁を見た時にさすがには心が折れました。
ペモン族のガイドは「この壁を登ればアウヤンテプイの頂上だ!」と言いますが、どう考えても登れるとは思えません。
しかし、実は一か所だけ登山ルートがあり、ロープを使えばこの絶壁も登っていけるのです!
このような岩場にかかっているロープを使って、絶壁を登っていきました。
その様子はGoproを使って撮影したので、Youtubeの動画を見てみてください。
そして、ようやくアウヤンテプイの頂上に到着しましたーーーーー!!
めちゃくちゃ疲れたけど、その分達成感と感動も凄い!
アウヤンテプイの最高地点で撮影した写真。
これぞ感無量、最高の気分です。
アウヤンテプイの頂上は、何千年も隔離された陸の孤島。
世界中でここにしかない景色が広がっています。
生態系も特殊で、希少な固有種が生存しています。
特に植物の美しさに心を奪われました。
珍しいオタマジャクシやカエルも生息しています。
頂上につけば、あとは帰るだけです。
来た道を黙々と歩いて帰ります。
そして、出発してから5日目の夕方に無事に帰宅しました。
疲れ果てて、もう一歩も歩けない……(笑)
まとめ
以上で、私がペモン族と過ごした47日間の紹介は終わりです。
いかがでしたか、ベネズエラへ旅行に行ってみたくなりましたか?
ベネズエラに行きたい人はオンリーワントラベルさんのツアーに、ぜひ参加してみてください!
それから、オンリーワントラベルさんでは、南米で活動してくれるボランティアを募集しているそうです。
現在、私はオンリーワントラベルさんと協力し、南米ボリビアのウユニ市で世界一の絶景ウユニ塩湖を守るために「ウユニ塩湖環境改善プロジェクト」を実施しています。
南米でのボランティア活動に興味がある人は、オンリーワントラベルさんへ連絡してみてください。
以上、海外農業コンサルタントの宮﨑大輔(@JIBURl)でした。
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